伊勢と熊野を結ぶ熊野古道・伊勢路。伊勢・名古屋方面から順に、伊勢路周辺の見所をご紹介します。
　伊勢路の入口、荷坂峠・ツヅラト峠を越えると紀北町・紀伊長島地区です。おすすめは年末恒例の「きいながしま港市（いち）」と、「古道魚まち歩観（あるかん）会」によるまちあるき（ワンコインで参加できます）。ツヅラト峠を降りた先には、歴史遺産として格子柄の天井をもつ大昌寺、巡礼の導観音として崇められた円通閣などがあります。
　ここから始神峠を越えれば、同じく紀北町の海山（みやま）地区。エメラルドグリーンの水の色で「奇跡の川」と言われる銚子川が有名です。訪問の拠点はキャンプｉｎｎ海山、種まき権兵衛の里。以外には熊野灘の海水と大台山系からの清流が流れ込む白石湖でとれる渡利カキが「まぼろしのカキ」として有名で、シーズンには食べ放題が大人気となります。
　海山から尾鷲に向かう途中には伊勢路の人気コースの１つ、馬越峠があります。伊勢路の特徴はＪＲ駅とのアクセスがよいことで、観光案内所に手荷物を預け、海山にバス等で移動することにより、古道歩きを手軽に楽しむことができます。馬越峠から尾根続きの天狗倉山、おちょぼ岩、便石山からの眺めは絶景です。
　伊勢路訪問の拠点となるのはこの尾鷲市と熊野市で、尾鷲には、三重県立熊野古道センターがあり、私たちも尾鷲を拠点にエコツアーやディープな秘境ツアーを運営しています。
　一方、熊野市にある伊勢路の人気コースが松本峠です。ここでもＪＲ駅を拠点に観光案内所に手荷物を預け、バス路線を利用した熊野古道歩きが楽しめます。市内のまちあるきにはワンコイン・ガイドを紀南ツアーデザインセンターにて申し込みができます。
　神武東征の舞台の楯ヶ崎、徐福伝説の波田須、日本書紀に記されている花の窟など、古代ロマンの地を巡るのもおすすめです。山間部では丸山千枚田や赤木城址、鉱山資料館を経て湯の口温泉、加えてジェット船で瀞峡を楽しむコース設定が可能です。
　松本峠を越えると七里御浜（熊野市・御浜町・紀宝町）。２２ｋｍつづく砂礫海岸の熊野古道です。山間部の風伝峠では秋から春先にかけ、朝霧が滝のように流れる風伝おろしが知られています。
　東紀州の旅の最後、和歌山県新宮市との境にある紀宝町では熊野川を行く帆かけ船「三反帆（さんだんぼ）」で、ゆったりとした遊覧をお楽しみいただけます。
　山・川・海の美しい景観と、奥深い歴史を感じる伊勢路の旅。私のおすすめです。